吉岡一族「暴走」やまず 東京女子医大は非常事態

2015年7月号 BUSINESS [インサイド]

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東京女子医大の吉岡俊正理事長

2歳男児に禁忌薬を過剰投与して死なせ、特定機能病院の承認を取り消された東京女子医大で、創業者一族の吉岡俊正理事長と岩本絹子副理事長が、医療事故は病院長らの責任と経営責任を一切認めず、監督官庁の文部科学省や厚生労働省にも背を向けて“暴走”し始めた。

文科省高等教育局私学部は吉岡、岩本両人を呼び、一族支配のままでは特定機能病院の再承認はありえず、14年度に4億円(約10%)減額した私学助成金も、15年度はさらに大幅カットせざるをえないと暗に退陣を促したが、2人は辞任を拒否した。塩崎恭久厚労相も「ガバナンスが機能していない」と彼らを批判しているが、これまた馬耳東風だ。

6月19日に学長選を強行し、吉岡理事長が立候補する(昨年のクーデター未遂以来兼任)。江戸川の産婦人科医の岩本副理事長は同窓会の至誠会会長でもあり、そこを牙城に「吉岡家支配」を貫く構え。「私が守らなくちゃ」と批判派を次々切り捨て、いまや怖いもの知らずの“女帝”状態。一時は初代厚労相、坂口力公明党特別顧問(元衆議院議員)を学長にかつぎだそうとしたが頓挫した。それでも一族と至誠会の結束で減収を乗り切れると自信を崩さない。

教授会で行う学長選には、神経精神科の石郷岡純教授も立候補する予定(18日に2候補のプレゼン)だが、選挙結果にかかわりなく、24日の理事会で吉岡が賛成多数で学長兼任理事長を続ける見込みで、切り札のない政府は歯軋りするばかりだ。

   

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