2006年5月号 連載 [「軍略」探照灯 第1回 ]
「戦略の誤りは戦術で償えない」と古来言われてきた。脚本が駄目なら俳優が熱演しても映画はまず成功しないのと同様、戦争全体の設計である「戦略」が間違っていては、前線の指揮官が「戦術」に知恵を絞り、兵が献身的に戦っても損害を重ねることになるのが通例だ。だが、イラクへの自衛隊派遣はこれまでのところ「戦略の誤りを戦術でほぼ償った」稀な例となりつつある。 アメリカの戦略の誤りは明白だ。「イラク国民は米軍を解放軍として歓迎するはず」という思い込みを基礎に、短期戦を想定したブッシュ大統領、D・ラムズフェルド国防長官らの目論見は完全に外れた。イラク人の多くがフセインの独裁と失政をうとみ、経済制裁に疲れてはいても、外国軍の侵攻に反感を抱くのは人間の天性だ。まして半世紀アラブ人を迫害してきたイスラエルの唯一の支援国である米国の軍隊が歓迎される、と思ったのはい ………
オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。