対IS奪還戦に「両刃の剣」

にわか作りの政府軍よりシーア派民兵が頼みだが、宗派対立には「火に油」。アルジャジーラの女性特派員が初寄稿。

2015年8月号 GLOBAL [イラク最前線ルポ]

バグダッドから西の郊外に出て数キロ進むと、イラク中西部のアンバル州とバグダッドを結ぶ小さな浮き橋に出る。難民と物資でごった返す橋は、過激派組織ISIS(「イラクとシャーム〔シリア〕のイスラム国」あるいはIS)との戦いで、スンニ派部族の協力をとりつけるという難しい舵取りを担うハイダル・アル・アバディ首相の苦悩を如実に示している。5月半ば、アンバル州都ラマディを攻略したISは、イラク最大でスンニ派部族の中核地でもある同州の8割を制圧した。この橋は戦闘から逃れようとする住民の唯一の避難ルートであり、食料や燃料などの物資の配給路でもある。だが、同じスンニ派のISと繋がっているのではないか――と疑心暗鬼のイラク政府は、バグダッドに身元保証人がいることを証明できる家族しか通行させない。

スンニ派住民帰らせず「民族浄化」

政府は爆発物探査のプログラムや機器のために億ドル単位の資金をつぎ込んでいる ………

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