連載 「経済断影」/「複雑怪奇な定額減税」で自治体パニック/井伊重之・経済ジャーナリスト

2024年6月号 BUSINESS [経済断影]

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岸田文雄首相の肝いり政策の定額減税が6月から実施されるのを控え、企業や地方自治体から悲鳴が上がっている。その制度設計が税金の軽減による減税だけでなく、給付も組み合わせるなど複雑極まりなく、現場では煩雑な実務作業を強いられているからだ。全国でミスが続発する事態も懸念されており、岸田首相が衆院解散・総選挙に向けて期待するような政権浮揚効果は見込めないだろう。定額減税は岸田首相が昨年10月に突然打ち出した。納税者本人と扶養家族を対象に1人あたり4万円を所得税などから差し引く。夫婦子供2人の世帯では合計16万円の減税となる。公務員や会社員などの給与所得者は、6月支給の給与やボーナスから源泉徴収される所得税や住民税が軽減される。納税額が少なかったり、扶養家族が多かったりすれば、翌月以降の給与にかかる税金も上限に達するまで軽くなる。ただ、今回の減税対象は、 ………

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