スクープ/芳野友子・連合会長/対抗馬なき「3期目続投」へ/焦点は「次の事務局長は誰か」

号外速報(7月5日 17:00)

2025年7月号 POLITICS [号外速報]

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「3期6年」の長期政権を手中に収めた芳野友子会長(写真/宮嶋巌)

秋の連合人事は芳野友子会長(59)の3期目続投で固まった。

「官公労系労組の反発は根強いが、我こそはという対抗馬が現れない。芳野氏は周囲に続投の意思を伝えており、焦点は№2の事務局長の人選に移っている……」

今年10月に任期満了(2期4年)を迎える芳野氏に近い連合幹部の1人は、次期会長人事の舞台裏を打ち明ける。

労働組合の中央組織である連合初の女性会長は「3期6年」の長期政権を手中に収めたかっこうだ。

対抗馬が現れる気配なし

メーデー中央大会で挨拶をする石破首相。左は芳野会長(4月26日、首相官邸HPより)

会長任期が残り3カ月となる中、連合傘下の産業別組織(産別)トップら9人で構成する「役員推薦委員会(ヤクセン)」(委員長・伊藤敏行フード連合会長)での選考は大詰めを迎えている。

ヤクセンでは各産別のトップをA〜Dの4つに分けたグループを作り、各グループが意見を出し合い、最後は全会一致で会長と事務局長を選出する。

7月末に開かれるヤクセンが次期会長内定のヤマ場となり、8月の中央執行委員会で了承されれば、10月の定期大会で正式決定される段取りだ。

目下の選考状況は、A(自動車総連・電機連合・JAM・基幹労連など)、B(UAゼンセン・フード連合・サービス連合など)、C(情報労連・JP労組・電力総連など)の3グループでは、一部に反対意見があるものの「芳野続投」でほぼ意見集約が図られている。

一方、D(自治労・日教組・運輸労連・私鉄総連など)グループでは自民党との距離の近さなどを理由に続投反対の意見が多く、全会一致を目指すヤクセンの最終選考が遅れてい る面がある。反芳野勢力のDグループとA、Cグループの一部の連携が囁かれ、芳野陣営も神経を尖らせている。とはいえ、肝心の対抗馬が現れる気配はどこにもない。

「時計の針を逆に戻すのか」

「芳野降ろし」を目論む某産別トップは、松浦昭彦会長代行(63、UAゼンセン前会長)を次期会長に担ぐ思惑だが、当の松浦氏は「芳野氏に続投の意思があるなら、自分は会長 職を受けるつもりはない」と、ヤクセンの伊藤委員長に伝えている。

当初は芳野続投に難色を示していた出身産別の「ものづくり産業労働組合(JAM)」も対抗馬が出て来ないため、3期目容認に転じている。

連合会長の任期は2期4年が慣例とされてきたが、神津里季生前会長(69)とその前任の古賀伸明元会長(72)は、それぞれ3期6年を務めた。前任会長が2代続けて3期目を務めたこ とも、芳野続投を認める理由の一つになっている。

神津・古賀両氏は続投反対を一部の産別幹部に伝えているが、芳野氏周辺は「引退した会長経験者が人事に口を出し、時計の針を逆に戻すのか」と痛烈な批判を浴びせる。

女性初の事務局長に永島氏

芳野友子会長と清水秀行事務局長(左)。右は松浦昭彦会長代行(写真/宮嶋巌)

芳野氏の2期4年の実績は少なくない。今春闘で2年連続5%台の賃上げを実現し、4月には連合会長が首相と向き合い政策を要求する「政労会見」を16年ぶりに開催した。長らく途絶えていた政労会見の復活は、連合の悲願であり、芳野会長の「首相官邸との個人的なパイプがものをいった」と評する向きもある。

ヤクセン内で「芳野続投」が既成事実化する中、焦点は勇退が決まって

いる清水秀行事務局長(66、元日教組委員長)の後任選びに移っている。

有力候補と目されるのは電機連合の神保政史会長、情報労連の安藤京一委員長、自治労の石上千博委員長(連合会長代行)の3人だ。

一方、女性初の連合会長となった芳野氏は自らのレガシーとして、2人目の女性会長誕生の道筋をつけたいと考えている。

意中の後継者はUAゼンセンの永島智子会長(55)だ。連合会長を退く時には、永島氏を事務局長に登用する願いを隠さない。

3期目続投が確実になった芳野氏の視線は「次の次」の事務局長人事(女性初の事務局長誕生)に向けられている。

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