金融庁の憂鬱/伊藤豊新長官につきまとう「いわき信用組合」の悪霊

金融庁監督局の不作為で事態が悪化。長官就任はもう1年待ってもバチは当たらないはずだ。

2025年8月号 BUSINESS

栄転は衆目の一致する所だ。業界への造詣は深く、人望も厚い。修羅場を乗り越えた胆力もある。日本の金融行政の牽引役を担うこと自体に違和感はない。だが、タイミングは本当に今年だったのだろうか。もう1年だけ「喪に服す」という選択肢は、全く頭になかったのだろうか。7月1日に就任した、金融庁の伊藤豊長官(61)である。順風満帆に発進したかに見える伊藤体制には、「いわき信組」の亡霊がついてまわることだろう。伊藤は埼玉県立春日部高校を卒業後、東京大学に進学し、野球部では主将を務めた。1989年に旧大蔵省に入省、96年に銀行課の課長補佐となると、バブル崩壊後の金融危機で瀕死になった日本債券信用銀行の救済に奔走した。

約束されていた「長官の座」

若手時代から将来を嘱望されていたが、さらに名を上げたのは何と言っても15年に就いた大臣官房秘書課長として振るった剛腕だろう。安倍政権を揺るがした、森友学 ………

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