2025年12月号 連載
新政権の誕生から1か月が経とうとしている。これまで日本の政治は、少子高齢化や人口減少など社会の構造的変化に後れを取ったまま、有効な対策を打てずにきた。財政・社会保障問題など深刻化する構造的課題を先送りせず、次世代に持続可能な社会を引き継いでいくのは、政治の役割であり、今を生きる世代の責務である。政治には、長期的展望を見失わず時局の打開と改革に取り組む強い姿勢を求めたい。また、構造的課題の解決には負担や痛みが想定される。そのため、改革の姿や負の分かち合い等の合意形成に資する国民各層の対話は欠かせないであろう。ネット上では、先鋭的な意見も含め政策や課題に関する様々な情報が流れる。こうした中、利害関係者間の対立・分断を招くことなく対話を深めるには、一人ひとりが良質の情報を収集・分析し、世の中の流れに惑わされず主体的に考えることが肝要だ。国には対話への仕掛けづくりを、国民には己の考えや議論の質を高める努力を、それぞれ望む。そのためにも、本誌には、我々のインテリジェンスを高め、時代の先を読む力を養う上質な情報を継続して提供頂きたい。
埼玉県在住61歳 労働問題研究者