ファンケル/将来にわたり、健やかなお肌を「キッズスキンケア講座」

子供と保護者に肌の仕組みや正しいスキンケアを伝える啓発活動

2026年1月号 INFORMATION

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夏休みに実施した親子向けの「キッズスキンケア講座」

肌のバリア機能が低下し、乾燥や赤み、かゆみなどを起こした状態の「肌荒れ」。紫外線や乾燥、花粉、睡眠不足、生活習慣の乱れなどが原因とされている。特に子供の肌は、大人よりも水分量・皮脂量が少なく、バリア機能が弱いため、ダメージを受けやすく、トラブルが起きやすい。子供の頃から、肌の状態に合った適切なスキンケアをすることが健やかな肌を育むポイントとなる。

化粧品や健康食品を手がけるファンケル(神奈川県横浜市)は「正義感を持って、世の中の『不』を解消しよう」という創業理念がある。そこで、同社は2021年から、国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みの一環として、子供たちと一緒にSDGsについて考え、行動するきっかけづくりを目的とした講座を実施している。これまで計200回以上の講座を開催し、保護者や教職員も含めると、累計2万8千人が参加している。24年から新たに開始したのが「キッズスキンケア講座」だ。

コーポレートブランディングPR・CSVグループ課長の松坂晃子さん

コーポレートブランディングPR・CSVグループ課長の松坂晃子さんは「肌の役割や仕組みなどを学び、正しいスキンケアの意識を高めることが大事だと考え、親子や小学校高学年向けの講座を行っている」と説明する。思春期の子供たちの悩みの種でもあるニキビは、中学生から高校生までの間がピークとなるが、早ければ、小学生の高学年から出始める。松坂さんは「肌トラブルを事前に予防して、子供の自己肯定感を育んでいきたいという思いもある」と話す。

紫外線の仕組みや対策を学ぶ実験

長期講座で洗顔の実習を行う私立桐蔭学園小学校の生徒たち

25年夏はファンケル総合研究所や工場がある飯島社屋(横浜市栄区)、横浜市役所、旗艦店の銀座スクエア(東京都中央区)で、「親子向けキッズスキンケア講座」を開催した。7月28日、8月1日に飯島社屋で実施した講座には2日間で、親子17組、計37人が参加し、いずれも盛況だった。

クイズを交えながら、肌の仕組みや正しいスキンケアについて、学んでもらい、洗顔の実習も行った。洗顔前に肌の水分量を機器で測定。泡洗顔料を使って、優しく丁寧に洗顔してから、保湿剤で、しっかり保湿し、再び、肌の水分量を測定する。「洗顔の前後で、どれだけ違うのかがよくわかり、みんな驚いていた。そこで、スキンケアの大切さを実感してくれる子供たちが多い」(同)。

8月18日に横浜市役所で、中区と共催した講座には、小学4~6年生の子供と保護者など計71人が参加した。ファンケルの研究員が講師となり、肌に影響がある紫外線の仕組みを説明した。みんなで「紫外線は何色か」「紫外線は何時まであるのか」を確認。実験結果から、紫外線が人の目に見えない光であることを知ると、子供たちは「紫外線は紫色ではないのか」と驚きの声があがった。

紫外線から肌を守るアイテムとして、日焼け止めを紹介。紫外線が当たると色が変わる容器の蓋に、片方だけ日焼け止めを塗り、紫外線を当てて、色の変化を観察する実験などを行った。参加した子供たちからは「紫外線が強い時間を知ることができた」「外で遊ぶ時は日焼け止めを塗ろうと思った」という前向きな感想も聞かれた。

温暖化の影響で、紫外線量は年々増加している。肌を取り巻く環境が過酷になっているからこそ、将来にわたって健やかな肌を保つためには、子供の頃からの適切なスキンケアが重要になってくる。松坂さんは「子供にどのようにスキンケアをすればいいか、何を使えばいいか悩ましく思われている保護者の方も多く、講座を通じて、正しい方法を学べて良かったという声を頂いている」と明かす。

小学生の声を反映したヒット商品

「クリアアップ ジェルミルク(医薬部外品)」(左)と「クリアアップ 泡洗顔料(医薬部外品)」

一方、ファンケルは23年11月から24年12月まで、私立桐蔭学園小学校とともに、「SDGsとスキンケアの大切さを学び、世の中に伝えよう」をテーマに、計8回の長期講座も開催した。講座を通じてSDGsとスキンケアの関係性について理解を深めるとともに、小学生向け商品の開発にあたって子供たちの声を反映した。男女問わず、誰でも使いやすい色やデザインなどを考え、「クリアアップ泡洗顔料(医薬部外品)」「クリアアップジェルミルク(医薬部外品)」の2商品が誕生した。

メディア発表会では、子供たち自身がスキンケアの大切さを発信し、大きな話題を呼んだ。24年12月から発売を開始し、1年が経過するが、「販売は非常に好調で、長期講座は大きな成果を生み出した」(松坂さん)と笑顔で話す。

ただ、まだ子供向けのスキンケアは、十分に認知が広がっていない。松坂氏は「26年度は講座の取り組みを大きくして、もっと浸透させたい」と意気込む。親子講座や出張型講座の回数を増やし、啓発活動をさらにパワーアップし、正しいスキンケアの方法を伝えていく方針だ。

(取材・構成/編集部 黄金崎元)

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