2026年2月号 連載
地元に恩返しがしたいとの思いから銀行勤務を経て市役所に職を得た。誠実に、倫理的に職務にあたり、市民の幸福の一助となりたいと僭越ながら願っている。もっとも、共同体に深く関わるほど思考は内向きに偏りがちだ。日々の実務は前例と期限に押され、視野が縮む。その偏りに気づかせ、視座を外へ引き上げてくれるのがFACTAである。
週末に机へ広げ、知らぬ語に出会っては調べ、含意を考え、また調べ直す。行政の判断は、一つの言葉や数字が誰かの暮らしを左右する。だからこそ、背景を読み解く力を鍛えたい。論点の切り分けや、当たり前を疑う視点は、窓口対応にも確かに効く。短い記事でも、思考の筋肉痛が残る。次号が待ち遠しい。
象徴的だったのは2011年4月号編集後記で引用された伊東静雄「水中花」の一節だ。意味を確かめたくて現地に赴き、答えが明確に得られずとも、わからないことを行動で確かめる姿勢が身についた。学びを仕事に返し、目の前の市民の力になれるよう、これからもFACTAで研鑽を重ねたい。
畠中 志保