国民医療費は年間48兆円。病の再定義で患者を増やし、高価な新薬を大量投与し続ける破滅の道。
2026年9月号 LIFE [高血圧ビジネス解剖(下)]
前編では、欧米が費用対効果で退けたエンレストが、日本では、海外での承認をそのまま追認する「承認追随」と皆保険を背景に、年商1千億円へと育つ経路を辿った。だが、薬価がどれほど高くついても、それを服用する「患者」がいなければ市場は成立しない。ノバルティスをはじめとする医療産業の強みは、薬を売る前に、まず患者そのものを作り出す点にある。後編で辿るのは、自覚症状のない健康な人までもが患者へと組み入れられ、その費用を皆保険が負担し続ける構造である。日本の高血圧患者は何人か。この問いには複数の答えが併存する。実際に医療機関へ通院しているのは約1600万人(令和5年の患者調査で1609万人)、日本高血圧学会が推計する「有病者」は約4300万人。そして、米国式の「130/80以上」の基準に則った、約6300万人という数字である。推計6300万人──成人人口およそ1億人の6割が罹患し ………
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