「無念を胸に刻んで」雑誌廃刊の美学

2009年1月号 連載 [メディアの急所]

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「これが最終号! ご愛読ありがとうございました。」(「読売ウイークリー」08年12月14日号)、「最終号42年間、ご愛読ありがとうございました」(月刊「現代」09年1月号)。最後の表紙にこんな文句が並んだ。

創刊号のような華やかさはない。が、かといって物悲しくもない。常にこれだけ力の入った編集をしていれば、もう少し雑誌の寿命も延びたのではないかと思える気合の入った中身である。

「読売ウイークリー」は前身の「月刊読売」「週刊読売」を合わせると、65年もの歴史を誇る。ラストの表紙には過去の代表的な号、計10冊分の表紙を時系列で並べた。特集は「本誌が伝えた重大事件」「名物企画のあの人は今」など。

巻末近くに「ニッポンの総合週刊誌を検証する」と題する4ページの記事が載っている。負け惜しみと読めないこともないが、「読売ウイークリーから愛を込めて がんばれ総合週刊誌!」というエールは、編集部の本音だろう。

月刊「現代」は「ジャーナリストたちの証言 ノンフィクションの現在と未来」と題する特集を組み、25人の著名ライターのメッセージを掲載した。

「現代」という舞台で筆を振るい、ビッグになったジャーナリストは少なくない。重松清氏の「『現代』は何を伝えてきたか」(32ページ)は同誌への想いを込めたレクイエムといえる。

今回の廃刊について、幾つかの他媒体のインタビューに答えてきた高橋明男・月刊現代編集長は巻末の編集後記に「無念を胸に刻んで」と書き、読売ウイークリー編集部一同も同じく後記で「またどこかで会いましょう」と述べた。「昔の名前」での復活は難しいだろうが、再会の日を期待したい。

   

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