実録・ソニー「追い出し部屋」⑫乾坤一擲プロジェクトの敗者

「なんでお前はそんなに焦っているの。辞めるなら辞めるって、まずは決心しなよ。自分の中に確たるものを持っていなければ誰もお前を助けられないんだよ……」

2014年9月号 BUSINESS [短期連載⑫]

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ソニー本社から2キロほど離れた賃貸ビルの11階に2007年春、6人の社員が集められた。極秘のプロジェクトをスタートさせるというのである。看板はない。他の職場の隅に六つの机を寄せ、そこに椅子を並べただけの仮住まいである。集合した社員たちの所属はバラバラだった。カーオーディオ開発の車載機器事業部員、VAIO事業部の社員、プレイステーションに取り組んでいたソニー・コンピュータエンタテインメントの若手社員、研究職――といった具合だ。ただ一つだけ共通していることがある。〈新規事業創出部門をスタートさせます。ついては、発想力のある若い社員を募ります〉こんな社内募集を読んだ社員たちだったことだ。それはソニーのイントラネット「InterSony」に掲示されたもので、この社内募集に手を挙げたことが、やがて彼らの運命を変えていった。

見たこともない新事業を創りたい!

社内人材募集は1966年から始まった制度で、新設 ………

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